木造住宅の美しさを長く保つために欠かせないのが、「木部のメンテナンス」です。中でも、フローリングや腰壁、梁、柱といった木の表面を清掃・保護する「クリーニング&ワックス」は、見た目だけでなく住まいの寿命にも大きく関わってきます。
この記事では、木造住宅専門のリフォーム業界で10年以上活動してきた筆者が、「木の家専用クリーニング&ワックス施工」の実際について、費用相場や施工内容、注意点、実例を交えて徹底的に解説します。
■ なぜ木部のクリーニングとワックスが必要なのか?
木材は呼吸する素材であり、湿度・気温の変化や日光、摩耗の影響を受けやすい特徴があります。未処理やメンテナンス不足の木部は、
- 汚れが染み込みやすく、拭いても落ちない
- 表面の乾燥・ひび割れが進行する
- 光沢がなくなり、古びた印象になる
- カビやシロアリのリスクが増す
といった問題が起こりやすくなります。特に無垢材(むくざい)の床や壁を使用している住宅では、定期的な保護メンテナンスが必須です。
筆者がこれまで関わってきた現場でも、ワックスをかけていなかった床が数年で黒ずみ・毛羽立ちが発生し、全面張り替えになったというケースが複数ありました。
■ 木の家専用ワックスと一般的なワックスの違い
木の家に使用するワックスは、フローリング専用ワックスとは異なる点が多く、素材との相性が非常に重要です。
項目 | 一般的なワックス | 木の家専用ワックス |
---|---|---|
主成分 | 合成樹脂(アクリル系等) | 自然由来オイル(蜜蝋、亜麻仁油など) |
対応素材 | 塗装フローリング | 無垢材、自然素材 |
特徴 | 表面保護・光沢重視 | 浸透保護・自然な仕上がり |
再塗装 | はがす必要あり | 重ね塗りが可能 |
木材の風合いを損なわず、通気性を保ちながら表面を保護する点で、天然オイル系ワックスの使用が圧倒的に推奨されます。
■ 施工内容と工程
木部のクリーニング&ワックス施工は、単純な拭き掃除ではありません。専門業者による丁寧な作業工程が必要です。
- 乾拭き・埃除去:掃除機と専用モップで細部のゴミを除去
- 専用クリーナーで洗浄:汚れを浮かせながらも素材を傷めない中性洗剤で処理
- 木目に沿った拭き上げ:繊維を痛めずに乾拭き
- ワックス塗布(1〜2回):スポンジやウエスで薄く均一に塗布
- 乾燥・仕上げ拭き:1〜2時間の自然乾燥後、仕上げ磨き
部屋全体に施工する場合は家具移動も必要であり、1日がかりになることも少なくありません。
■ 費用の目安
実際の施工費用は面積や劣化具合によって変わりますが、一般的な目安として以下の通りです。
範囲 | 内容 | 費用目安 |
---|---|---|
6帖(約10m2) | クリーニング+天然ワックス塗布 | 約1万5千〜3万円 |
リビング+ダイニング(20m2) | 同上 | 約4万円〜7万円 |
家全体(60〜100m2) | 同上+家具移動込み | 約10万円〜20万円 |
※シロアリ予防処理、ひび補修などを含むと別途追加費用が発生します。
■ 施工事例紹介
【事例①】築25年木造住宅(東京都)
- 範囲:リビング・廊下(30m2)
- 状況:表面に黒ずみと乾燥割れがあり
- 使用ワックス:亜麻仁油+蜜蝋ブレンドタイプ
- 費用:6.5万円
- 工期:1日
- 効果:光沢と木の風合いが戻り、滑りにくくなった
【事例②】中古木造住宅購入後(千葉県)
- 範囲:1階全体(70m2)
- 状況:古い合成ワックスが残り、再塗装が必要
- 工事内容:剥離+クリーニング+オイルワックス2回塗布
- 費用:18万円
- 工期:2日
【事例③】無垢材リフォーム後の保護仕上げ(長野県)
- 範囲:リビング+天井梁(25m2)
- 特徴:新築に近い状態の仕上げ材を長持ちさせる目的
- 使用:天然柿渋入りワックス
- 費用:4.5万円
- 工期:1日
■ DIYとプロ施工の違い
木の家のメンテナンスをDIYで行う方も増えていますが、以下の点でプロ施工とは差があります。
項目 | DIY | プロ施工 |
---|---|---|
道具 | 市販品、家庭用クリーナー | 専用洗剤・プロ用ワックス |
作業精度 | ムラ・厚塗りになりやすい | 均一で美しい仕上がり |
仕上がりの持ち | 数ヶ月〜1年 | 2〜3年維持するケースも |
DIYも魅力的ですが、一度プロ施工で整えてから定期的なメンテナンスを自分で行うという形が理想的です。
■ 一括見積もりで失敗を防ぐ
クリーニングやワックスは施工単価が安く見えますが、業者により対応範囲や使用素材が大きく異なります。
一括見積もりサービスを活用すれば、
- 費用と工法の比較ができる
- 追加費用が発生する要素も事前に把握
- 見積もり無料&現地調査ありの業者が見つかる
筆者の経験でも、安価な見積もりの業者が実は合成ワックスで済ませていたという事例もありました。事前に「何を使うか」「どう施工するか」の確認は必須です。
まとめ
木造住宅の美しさと耐久性を維持するためには、木部のクリーニングとワックス施工が不可欠です。費用も比較的手軽でありながら、定期的に行うことで数十年にわたり住まいを美しく保つことが可能になります。
特に無垢材や自然素材を使用した木の家では、「自然素材に適したワックスを使い、適切に施工する」ことが大切です。
迷ったら、まずは一括見積もりで信頼できる業者を見つけることから始めましょう。
👉 全国優良リフォーム会社への一括見積もりなら【リショップナビ】
暮らしにやさしく、家にもやさしい木の手入れ。今から始めてみませんか?