和風住宅や和室の象徴ともいえる「障子」。その優しい光と独特の趣きは、日本の暮らしに深く根付いてきました。しかし、近年ではライフスタイルの変化や断熱・防音性能の向上を目的に、障子をガラス戸へ交換するリフォームが注目されています。
この記事では、リフォーム業界での現場経験を活かし、障子からガラス戸へ交換するメリット・デメリット、費用相場、施工の流れ、そして実際の事例を紹介します。
■ 障子の魅力と課題
【障子のメリット】
- 柔らかい自然光を取り入れられる
- 軽量で開閉しやすい
- 和の雰囲気・美しさを演出
【障子のデメリット】
- 破れやすく、定期的な張替えが必要
- 断熱性・気密性に乏しい
- 防音性が低い
- UVカット性能がほぼない
和紙の風合いは捨てがたいものの、日常生活での実用性を考えると、ガラス戸への交換は非常に現実的な選択肢となります。
■ ガラス戸へ交換するメリットとは?
- 断熱性の向上
複層ガラス(ペアガラス)やLow-Eガラスを選べば、冷暖房効率が飛躍的にアップします。 - 防音性の改善
交通量の多い道路沿いの住宅などでは、騒音軽減に効果的。 - UVカット・家具の劣化防止
UVカットガラスにすることで、畳や家具の日焼けも抑えられます。 - メンテナンスフリー
障子のような張り替えが不要で、清掃も簡単。 - 和モダンなインテリアにも対応
「格子入りガラス」や「すりガラス」など、和の雰囲気を残したガラス戸も多く存在します。
■ ガラス戸の種類と性能比較
ガラス戸のタイプ | 特徴 | 断熱性 | 防音性 | 見た目の和風感 |
---|---|---|---|---|
単板ガラス戸 | 安価・軽量 | △ | △ | △ |
複層ガラス(ペアガラス) | 断熱性が高く結露対策に◎ | ◎ | ○ | △ |
Low-E複層ガラス | さらに断熱・UVカット性能が高い | ◎ | ◎ | △ |
すりガラス戸 | 視線を遮りつつ採光できる | ○ | ○ | ○ |
格子入りガラス戸 | 和風テイストを残したデザイン | ○ | △ | ◎ |
■ 費用相場(1カ所あたりの目安)
工事内容 | 費用の目安 |
---|---|
単板ガラス戸への交換 | 約3万〜5万円 |
複層ガラス戸への交換 | 約5万〜10万円 |
Low-Eガラス戸への交換 | 約8万〜15万円 |
特注デザイン(格子入り等) | 約10万〜20万円 |
※建具枠の状態やサイズ調整の有無により変動します。和室の間口に合わせた造作工事が必要な場合は追加費用がかかります。
■ 施工の流れ
- 現地調査と見積もり
開口部の寸法や建具の劣化具合を確認。必要に応じて枠の補強も検討。 - 建具の製作・準備(既製品またはオーダー)
標準サイズが合わない場合はオーダー製作。 - 障子の取り外し
既存建具を丁寧に取り外し。 - 新しいガラス戸の取り付け
丁番やレールの調整含む。 - 完成・確認・アフター説明
スムーズな開閉・安全性などをチェック。
施工期間はおおよそ1日〜2日程度が一般的です。
■ 実際のリフォーム事例
【事例①】築40年 和室2部屋(東京都)
- 内容:障子をLow-Eガラス戸(すりガラスタイプ)に変更
- 工事費用:約28万円(2ヶ所)
- 工期:2日
- 効果:断熱性が上がり、冬場の冷えが軽減。日中もプライバシーを確保しながら明るさを維持。
【事例②】築20年 木造住宅(岐阜県)
- 内容:リビングの和室コーナーを格子入りガラス戸に交換
- 工事費用:約18万円(1ヶ所)
- 工期:1日
- 効果:和の風合いを残しつつモダンな印象に。来客からも好評との声。
【事例③】古民家リノベーション(京都府)
- 内容:20枚以上の障子戸を複層ガラスに一括交換
- 工事費用:約180万円
- 工期:1週間
- 効果:冷暖房効率が大きく向上。冬の結露が大幅に減少。
■ 交換時の注意点とアドバイス
- 開口部サイズによっては建具枠の補修や加工が必要
- 建具の重量が増すため、レールや敷居の強化が求められることも
- 古民家や築年数が長い住宅では、壁や柱のゆがみに注意
筆者の経験では、「ただ交換するだけ」でなく既存構造との調和を考えることが成功のカギとなります。特に格子入りガラス戸を導入する際は、木枠の塗装や床の色味とのバランスも含めて設計するのがベストです。
■ 業者選びと見積もりのポイント
- ガラス戸製作の実績が豊富な建具業者に依頼
- 必ず現地採寸と建具枠の状態チェックをしてもらう
- 比較検討のために一括見積もりサービスの利用が便利
筆者が担当していた現場でも、一括見積もりで複数業者を比較し、提案力や価格で納得して施工を決められたお客様が多くいらっしゃいました。
まとめ
障子からガラス戸へのリフォームは、見た目の印象を変えるだけでなく、住まいの快適性や機能性を高める実用的な選択です。費用は内容によって変動しますが、長期的なコスト削減やメンテナンスフリーといった点でもメリットは大きいです。
迷われている方は、まずは自宅の建具の状態とご希望のライフスタイルを明確にし、複数の専門業者に相談してみることをおすすめします。
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