木造住宅において「軒天(のきてん)」とは、屋根の下に張り出した軒の裏側、つまり外壁から飛び出した部分の天井を指します。
軒天は一見目立たない場所ですが、雨風や湿気、紫外線の影響を受けやすく、劣化が進みやすい部分でもあります。特に色あせ・剥がれ・腐敗・穴あきなどのトラブルを放置すると、建物全体の寿命にも関わってくるため、早めの対処が重要です。
この記事では、木造住宅の軒天補修を多数手がけてきた筆者が、劣化のサイン、補修方法、使用材料、費用相場、実例について詳しく解説します。
■ 軒天が劣化する原因と主な症状
原因 | 症状 |
---|---|
雨水の吹き込み | 表面の色あせ、シミ、膨れ |
湿気・結露 | カビの発生、腐敗、木材の変色 |
紫外線 | 塗装の劣化、チョーキング現象(白い粉が出る) |
小動物・害虫の侵入 | 穴あき、軒天材の破損 |
■ 軒天補修が必要なタイミング
- 色あせや塗装の剥がれが目立ってきた
- 軒天材が浮いてきたり、剥がれている
- シミやカビが広がっている
- 軒先から動物の出入りが見える
- 軒天からポロポロと破片が落ちる
→ こうした兆候があれば、早期の補修や張り替えを検討すべきです。
■ 軒天の補修方法と使用材料
補修内容 | 方法 | 主な使用材 |
---|---|---|
塗装のみ(軽度劣化) | 洗浄→ケレン→下塗り→上塗り | アクリル・ウレタン・シリコン塗料 |
部分張り替え | 劣化部分を撤去し、新材を貼る | ケイカル板・合板・窯業系パネル |
全面張り替え | 広範囲に劣化している場合 | ケイカル板+防水塗装 |
換気口の設置・交換 | 湿気対策として通気性を改善 | 樹脂製換気口など |
■ 補修費用の目安
工事内容 | 費用目安 |
---|---|
軒天塗装(30㎡) | 約6万〜12万円 |
部分張り替え(1〜2㎡) | 約2万〜5万円 |
全面張り替え(30㎡) | 約15万〜30万円 |
換気口設置 | 約5千〜1.5万円(1箇所) |
足場設置(必要時) | 約10万〜15万円 |
※劣化の程度や足場の有無で価格は大きく変動します。
■ 実際の補修事例
【事例①】築25年 木造住宅(神奈川県)
- 内容:塗装劣化による全面再塗装(シリコン塗料)
- 工期:2日
- 費用:約8.5万円
- 効果:「外観がきれいになり、カビも抑えられた」
【事例②】築30年 木造住宅(愛知県)
- 内容:腐食した軒天3㎡を部分張替+塗装仕上げ
- 工期:1日
- 費用:約4.2万円
- 効果:「落下の心配がなくなり安心」
【事例③】築20年 木造住宅(千葉県)
- 内容:換気不良によるカビ発生 → 換気口新設+張替
- 工期:2日
- 費用:約9.8万円
- 効果:「軒先の風通しがよくなり、カビも再発していない」
■ DIYでの補修は可能?
- 軒天塗装のみであればDIY可能(安全対策が必須)
- 張替や高所作業はプロに依頼が安全・確実
- 足場や養生、適切な塗料・工具がない場合は無理しないこと
■ 火災保険・補助金の活用
名称 | 対象・内容 |
---|---|
火災保険 | 台風や強風による軒天被害で保険申請可能(写真必須) |
自治体のリフォーム補助 | 高齢者住宅・省エネ・景観保全など目的により対象の場合あり |
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まとめ
軒天は、目立たない場所ながらも建物の耐久性や美観に影響を与える大切な部位です。
色あせや腐敗は放置せず、早めの塗装・張替でメンテナンスすることが、住宅の寿命を延ばす鍵となります。
まずは専門業者に相談し、現地調査と見積もりを取得してみましょう。