「築年数の古い木造住宅に住んでいるが、ブレーカーがよく落ちる」「コンセントが少なくて延長コードだらけ」「配線がむき出しで心配」といった声をよく耳にします。これらはまさに、電気配線のリフォームが必要なサインです。
電気は生活に欠かせないインフラであり、古い配線をそのまま使い続けるのは、火災リスクや生活の不便さにも直結します。この記事では、電気工事士と連携して木造住宅のリフォームを数多く手掛けてきた筆者の経験をもとに、電気配線リフォームの基礎知識、施工内容、費用相場、注意点を徹底解説します。
■ 古い木造住宅の電気配線、なぜリフォームが必要なのか？
古い木造住宅の多くは、1980年代以前の住宅に見られる「単線配線」や「容量不足のブレーカー」がそのまま使われています。以下のような問題がよく発生します。
- ブレーカーが頻繁に落ちる（容量オーバー）
- 配線の被覆が劣化して発熱・発火リスク
- コンセントやスイッチの位置が不便
- 電化製品が増えた現代に対応できていない
- アースが未設置で感電のリスク
また、築40年以上の住宅では「布巻き配線」「金属管配線」など旧式の工法が多く、経年劣化による事故リスクが高まります。
■ 電気配線リフォームでできること
配線リフォームといっても、その内容は多岐にわたります。以下は主な工事内容です。
① 幹線（主配線）の交換
電力会社から住宅に引き込まれる幹線を、現在の使用容量に合わせてアップグレードします。
② 分電盤（ブレーカー）の交換
最新の漏電遮断器付きブレーカーに交換することで、安全性が格段に向上します。
③ コンセント・スイッチの増設・移設
部屋の使い勝手やレイアウトに合わせて増設。アース付きコンセントに変更することも可能です。
④ 全体の配線やり直し（全面リフォーム）
床下・天井裏・壁内の既存配線をすべて撤去し、新たに電線を引き直します。築30年以上の住宅ではおすすめです。
⑤ LED照明・スマート家電対応の設置工事
将来を見据えた電気設備の刷新も可能です。
■ 電気配線リフォームの流れ
- 現地調査とヒアリング：専門業者が既存の配線状況、ブレーカー容量、使い方を確認します。
- 図面とプラン作成：部屋ごとのコンセント位置、配線ルートを設計します。
- 施工（1日〜1週間程度）：工事範囲によって変動。屋内のクロスや床の一部を剥がしての作業が必要なことも。
- 試験・検査：漏電チェック、電圧測定などで安全を確認。
- 引き渡しと説明：使用方法や注意点を丁寧に説明してくれます。
■ 費用相場
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 分電盤（ブレーカー）交換 | 約5万〜15万円 |
| コンセント・スイッチ増設 | 1箇所あたり約5千〜2万円 |
| 幹線引き直し（単独工事） | 約10万〜25万円 |
| 室内配線全面リフォーム | 約40万〜100万円以上 |
※上記は一般的な戸建て住宅（30坪〜40坪）の相場。屋内の仕上げ材や施工条件によって変動します。
■ 実例紹介：現場で見た「配線リフォーム」
【事例①】築45年 木造住宅（神奈川県）
- 問題：頻繁にブレーカーが落ち、電子レンジとエアコンが同時に使えない
- 工事内容：幹線と分電盤の交換、配線の一部入れ替え
- 費用：約42万円
- 工期：3日
- コメント：電気工事士と連携し、安全性が格段に改善。高齢のご夫婦も安心して使用可能に
【事例②】築38年 平屋住宅（福岡県）
- 問題：台所のコンセントが2口しかなく、炊飯器と電子レンジが同時に使えない
- 工事内容：台所・リビングにアース付きコンセント4箇所増設、スイッチ交換
- 費用：約18万円
- 工期：1日
- コメント：生活動線に合わせて位置調整し、家事効率も大幅アップ
【事例③】築50年 古民家（新潟県）
- 問題：布巻き配線が残っており、火災リスクが高い
- 工事内容：全室の配線を撤去し、分電盤・照明器具も刷新
- 費用：約96万円
- 工期：6日
- コメント：耐震補強と並行して行うことで家全体の安全性を向上
■ 電気配線リフォームの注意点
- 資格を持つ電気工事士による工事が必須（無資格の工事は違法）
- 壁や天井の解体が必要なケースあり（リフォーム費用に影響）
- 建物全体の老朽化と併せた計画がベスト（耐震・断熱と一緒に）
- スマート家電との連携を視野に（Wi-Fi設備やIoT対策も）
特に古い木造住宅では、床下や壁内に思わぬ障害物（柱や梁、既存の配管）があるため、現地調査の精度が成功のカギとなります。
■ 一括見積もりサービスで失敗を防ぐ
筆者が現場で数多くの配線リフォームを見てきた中で、最も失敗の少ないケースは「複数の業者に見積もりを取った人」でした。料金だけでなく、説明の分かりやすさ・調査の丁寧さ・工事の提案力に差が出ます。
電気工事は専門性が高く、金額も幅があります。まずは複数社からの比較が大前提です。
まとめ
古い木造住宅における電気配線のリフォームは、安全性と快適性を大きく左右する重要な工事です。ブレーカーの頻繁な落電やコンセント不足に悩まされている方は、早めに専門家へ相談しましょう。
電気工事は見えない部分だからこそ、きちんとした業者選びが重要です。経験豊富なプロに任せて、現代の生活スタイルに合った安心の電気環境を手に入れてください。
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