地震の多い日本において、木造住宅にお住まいの方が「最近、家の揺れが大きくなったような気がする」と感じることは珍しくありません。特に地震後に不安を感じた場合、見えない部分で住宅の構造がダメージを受けている可能性があります。
本記事では、リフォームの専門家として10年以上の現場経験をもとに、地震後に揺れを感じる原因、木造住宅の補強方法、費用、実例、さらには業者選びのポイントまで徹底的に解説します。
■ 地震後に揺れを感じる主な原因とは?
- 構造材の緩みやずれ
大きな揺れにより、柱や梁、筋交いがわずかに動くことで、家全体の剛性が低下します。 - 基礎部分のひび割れ・沈下
コンクリート基礎にクラックが入ることで建物の水平バランスが崩れ、揺れを感じやすくなります。 - 耐震壁の不足や劣化
旧耐震基準(1981年以前)で建てられた住宅は、そもそも耐震壁が少なく、揺れに弱い構造です。 - 接合金物の劣化・未設置
古い木造住宅では、柱と梁をつなぐ金物がなかったり、劣化していたりします。 - 屋根や2階部分の重量バランス
重い瓦屋根や不均衡な2階構造は揺れの原因になります。
■ 見えない「構造のゆるみ」が恐ろしい理由
見た目に異常がなくても、実際には構造体が地震の影響で損傷していることがあります。筆者の現場経験では、天井裏の梁が裂けていたり、壁内の筋交いが外れていたケースも少なくありません。
こうした内部の損傷は、次の地震で大きな被害につながるリスクがあります。そのため、「気になる程度の揺れ」でも、見逃さずに専門家に相談することが非常に大切です。
■ 木造住宅の補強・対策リフォームの方法
① 耐震診断(自治体の補助対象になることも)
- 建築士が現地で構造チェック
- 壁量・接合部・基礎などを調査
- 耐震性を点数化して把握できる
② 耐震壁の設置・補強
- 筋交い(すじかい)や構造用合板を追加
- 耐震金物でしっかり固定
- 柱の間に制震ダンパーを設置することも可能
③ 基礎の補修・補強
- クラック補修(エポキシ樹脂注入など)
- 布基礎からベタ基礎へ変更(大規模)
- アンカーボルトの追加設置
④ 接合金物の追加設置
- 古い木造住宅では柱や梁の接合部を金物で補強
- 見た目には影響せず、大幅な耐震性アップが可能
⑤ 屋根の軽量化
- 重い瓦から軽量金属屋根(ガルバリウム鋼板など)へ葺き替え
- 重心が下がることで耐震性能向上
⑥ バランスの取れた間取りへの変更
- 不均衡な間取り(片側に集中した部屋や壁)を見直し
- 住まいの構造バランスを整えることで揺れを軽減
■ 費用相場と補助制度
工事内容 | 費用の目安 |
---|---|
耐震診断 | 約3万〜10万円(自治体補助あり) |
耐震補強(部分) | 約50万〜150万円 |
耐震補強(全体) | 約150万〜300万円 |
屋根の軽量化 | 約80万〜200万円 |
多くの自治体では、耐震診断や補強工事に対する補助金制度があります。自治体の公式サイトや住宅リフォーム相談窓口に確認しましょう。
■ 実際のリフォーム事例
【事例①】築40年 木造2階建て(神奈川県)
- 症状:地震後、2階の揺れが大きくなった
- 原因:柱のズレ、屋根が瓦で重すぎる
- 工事内容:柱補強+屋根の軽量化+耐震壁追加
- 費用:約280万円(うち市から100万円補助)
- 工期:約3週間
【事例②】築35年 平屋住宅(愛知県)
- 症状:室内で歩くと床がミシミシ、揺れを感じる
- 原因:基礎の劣化と接合部の緩み
- 工事内容:基礎クラック補修+接合金物の新設+壁補強
- 費用:約160万円
- 工期:約2週間
【事例③】築50年 古民家風住宅(京都府)
- 症状:地震のたびに建具が歪む・開かなくなる
- 原因:構造バランスの悪さ、梁のたわみ
- 工事内容:構造全体の見直し+制震ダンパー設置
- 費用:約320万円
- 工期:約1ヶ月半
■ 業者選びのコツと注意点
- 建築士・耐震診断士の在籍する業者を選ぶ
- 現地調査と詳細な構造分析を丁寧に行ってくれるか
- 補助金制度に詳しいか(申請サポートがあるか)
- アフター保証や施工実績もチェック
筆者の経験では、「安さだけ」で選ぶと構造的な対策が不十分になることがあるため、信頼性重視で選ぶことが大切です。
■ 一括見積もりサービスの活用
耐震補強リフォームは内容が専門的かつ高額になりがちです。そのため、
- 費用を比較できる
- 業者ごとの提案を比較できる
- 適正価格かどうか判断できる
といった観点から、一括見積もりサイトの活用が非常に有効です。
筆者自身も業者側として多くの案件に関わってきましたが、相見積もりを取ったお客様ほど、納得度の高いリフォームを実現されていました。
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まとめ
地震後に「揺れが大きくなった」と感じたら、それは住宅からの重要なサインかもしれません。見た目に異常がなくても、内部構造にはダメージが蓄積していることがあるため、早めの耐震診断と対策リフォームが肝心です。
木造住宅は補強することで、さらに長く快適に住み続けることが可能です。安心・安全な住まいを守るためにも、まずは専門家の診断を受け、一括見積もりで信頼できる業者に出会いましょう。
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皆さまの大切な住まいが、次の地震にも耐えられる強さを備えることを願っています。