「木造住宅は火災に弱い」と思われがちですが、近年では高性能な防火材料や施工技術の進化により、耐火性能を大幅に高めることが可能になりました。特に火災リスクが高まる都市部や隣家との距離が近い住宅密集地では、防火サイディングの導入が有効です。
この記事では、リフォーム現場で木造住宅の外壁改修を数多く手がけてきた筆者が、耐火対策の基本、防火サイディングの特徴・施工方法・価格相場・注意点について詳しく解説します。
■ 木造住宅が火に弱い理由と対策の必要性
問題点 | 解説 |
---|---|
木材は可燃性素材 | 火災時に燃えやすく、延焼のリスクが高い |
開口部(窓・換気口)からの火の侵入 | 隣家火災の飛び火で延焼しやすい |
軒裏・ベランダの隙間構造 | 熱がこもり、内部まで燃え広がる可能性 |
こうした課題をクリアするために、「外壁材の防火性能を高める」ことが耐火対策の第一歩になります。
■ 防火サイディングとは?
防火サイディングとは、火に強い素材を用いた外壁材で、国の防火認定(防火構造・準耐火構造)を取得した製品です。
種類 | 特徴 |
---|---|
窯業系サイディング | セメント+繊維素材で形成され、耐火・耐水性に優れる |
金属系サイディング | 表面はガルバリウムなど、内部に断熱材を持つタイプも多い |
ALCパネル | 軽量気泡コンクリートでできた高耐火素材(重量・価格やや高め) |
■ 防火サイディングの価格相場
材料・施工内容 | 単価(1㎡あたり) |
---|---|
窯業系サイディング | 約5,000〜7,000円 |
金属系サイディング | 約6,000〜9,000円 |
ALCパネル | 約8,000〜12,000円 |
既存外壁の撤去費用 | 約2,000〜3,000円/㎡ |
足場・養生・防水下地処理 | 一式で15万〜30万円程度 |
【例:30坪の木造住宅全面張り替えの場合】
- 窯業系:約130万〜180万円
- 金属系:約160万〜200万円
- ALC系:約180万〜240万円
■ 実際の施工事例
【事例①】築25年 木造住宅(東京都 防火地域)
- 内容:窯業系サイディングへ全面張り替え(防火認定品)
- 費用:約160万円
- 工期:約10日
- 効果:「火災保険の条件が良くなった。外観も一新」
【事例②】築20年 木造2階建て(神奈川県)
- 内容:金属サイディング+遮熱断熱材入りで施工
- 費用:約185万円
- 効果:「夏の室内温度が下がり、火災時の安心感も得られた」
■ 耐火リフォームの注意点
- 防火認定を受けた建材を使用しているか確認
- 既存下地が劣化していないか事前点検が必要
- 防火地域・準防火地域では自治体の建築制限を確認
- 足場や下地補修など付帯工事が意外と高額になる
- 室内の気密・断熱とのバランスも大事(結露防止)
■ 補助金・保険制度の活用
制度名 | 内容 |
---|---|
火災保険 | 外壁損傷に対し保険金が出るケースあり(火災・風災) |
長寿命化リフォーム補助金 | 防火+断熱リフォームで最大100万円の補助(条件あり) |
自治体の防火改修助成 | 木密地域や防火地区での助成制度(地域による) |
まとめ
木造住宅でも、防火サイディングを用いた外壁リフォームにより、高い耐火性とデザイン性、住宅価値の向上が期待できます。
火災リスクが気になる方、将来の保険条件や住宅性能向上をお考えの方は、まずは現地調査と見積もり取得から始めてみましょう。