日本は世界有数の地震大国です。特に阪神淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)以降、住宅の耐震性能の重要性が広く知られるようになりました。中でも「木造住宅」は構造の柔軟性を活かした耐震設計が可能である一方、築年数が古い場合は地震に弱いまま放置されていることも多く、命や財産に関わるリスクをはらんでいます。
この記事では、リフォーム業界で10年以上木造住宅を担当してきた筆者が、耐震補強の必要性・具体的な方法・費用の目安・そして助成金の活用方法について、実体験を交えてわかりやすく解説します。
■ なぜ木造住宅に耐震補強が必要なのか?
【法改正のポイント】
- 1981年以前に建てられた住宅:旧耐震基準(震度5程度を想定)
- 1981年6月以降の住宅:新耐震基準(震度6強〜7にも耐える設計)
そのため、「築40年近い住宅」はほぼ耐震補強が必要と考えて間違いありません。
【実際のリスク例】
- 筆者の現場経験でも、築40年超の住宅で柱が傾いていた例や、接合金物が使われておらず、壁のバランスが偏っていたケースが数多くありました。
- 震度6弱の地震で「全壊」認定となった木造住宅の多くは、耐震補強をしていなかったというデータも存在します。
■ 耐震補強の方法
1. 壁の補強(耐力壁の増設)
- 筋交い、構造用合板、モイスなどを使って壁強度を高める
- 効果が高く、リフォームでも導入しやすい
2. 基礎補強
- 無筋コンクリート基礎を鉄筋入りに改修
- クラックの補修や補強金物の追加も含む
3. 金物補強
- 柱と土台・梁の接合部に耐震金物を取り付ける
- 揺れによるズレ・崩壊を防ぐ
4. 屋根の軽量化
- 重い瓦屋根をガルバリウム鋼板などの軽量屋根に変更
- 上部の重さを減らすことで揺れを小さくする
5. 耐震シェルター・ボックスの導入
- 家全体の補強が難しい場合に、寝室など1室のみを強化する方法
■ 耐震補強の費用の目安(30坪2階建て木造住宅)
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
耐力壁の増設 | 約20万〜50万円 |
基礎補強 | 約30万〜80万円 |
金物補強 | 約15万〜30万円 |
屋根軽量化 | 約100万〜150万円 |
耐震診断(簡易) | 約3万〜5万円 |
耐震補強設計(詳細) | 約10万〜20万円 |
耐震補強工事 合計 | 約80万〜300万円 |
※部分補強と全面補強で価格差があります。建物の構造・状態により大きく異なります。
■ 耐震補強に使える助成金制度とは?
国や自治体では、耐震診断や補強に対して補助金・助成金制度を用意しています。
【主な対象となる住宅】
- 昭和56年5月以前に建築された住宅(旧耐震基準)
- 自ら所有し、居住している住宅
- 耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満とされた建物
【助成金の種類】
内容 | 補助金額(目安) |
---|---|
耐震診断 | 3万〜10万円 |
耐震設計 | 5万〜15万円 |
耐震補強工事 | 最大100万〜200万円 |
耐震シェルター設置 | 約20万〜50万円 |
※自治体ごとに異なるため、各市町村の役所ホームページ等で確認を。
■ 助成金の申請手順(一般的な流れ)
- 事前相談(市区町村の建築課)
- 耐震診断を実施(登録業者または認定技術者)
- 診断結果に基づき、補強設計・見積もり
- 助成金の申請・交付決定
- 補強工事の実施(着工前に交付決定が必要)
- 工事完了後、実績報告・助成金の受け取り
■ 実際の施工事例
【事例①】築45年 木造住宅(東京都)
- 内容:耐震診断+耐力壁増設+金物補強
- 費用:約160万円(助成金100万円適用)
- 工期:10日
- 備考:内装は最小限に抑えて施工
【事例②】築38年 木造2階建て(静岡県)
- 内容:屋根軽量化(瓦→ガルバ)、壁補強
- 費用:約240万円(助成金120万円適用)
- 工期:約2週間
- 備考:耐震評点が0.4→1.2に改善
■ 業者選びと一括見積もりの重要性
耐震補強工事は専門性が高いため、経験豊富で自治体制度にも精通している業者選びが重要です。
一括見積もりサイトを活用すれば:
- 自治体の登録施工業者から比較できる
- 補助金に詳しい業者を効率よく見つけられる
- 無料で診断・プラン提案をしてくれる業者も
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まとめ
木造住宅の耐震補強は「備えあれば憂いなし」。地震が来てからでは遅く、事前の診断と補強工事が、家族と住まいを守るための最善策です。
さらに国や自治体の助成金制度を活用すれば、自己負担を大幅に抑えることも可能です。耐震診断は無料または数万円で実施できるケースも多いため、まずは現状把握から始めましょう。
安全な暮らしへの第一歩として、耐震診断+一括見積もりをぜひご検討ください。