「親が高齢になってきた」「将来の介護に備えたい」
こうした理由から、バリアフリー化リフォームを検討する方が増えています。特に木造住宅は、構造的に変更が加えやすいため、段差解消や手すり設置などのリフォームに適しているとされています。
この記事では、リフォーム専門家として数多くの介護対応リフォームを担当してきた筆者が、木造住宅におけるバリアフリー化の基本知識、リフォームの種類、費用相場、介護保険や補助金制度の活用方法まで、わかりやすく解説します。
■ なぜ今、バリアフリーリフォームが必要なのか？
- 高齢者の転倒事故の約7割が自宅内で発生
- 足腰が弱くなると、わずかな段差でもつまずきの原因に
- 「介護が必要になってから」ではなく、元気なうちに対策するのが理想
木造住宅は、構造上「後付け」がしやすく、廊下や階段なども改修の自由度が高いため、バリアフリー化との相性が良いのです。
■ バリアフリーリフォームの主な内容
| 工事項目 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 段差解消 | 敷居を削る、スロープ設置、床の高さ調整 | 転倒防止に最も重要 |
| 手すりの設置 | 廊下・階段・トイレ・浴室などに設置 | 自立支援・転倒予防 |
| 扉の交換 | 開き戸→引き戸への変更 | 出入りがしやすく、介助者にも◎ |
| 滑りにくい床材 | 廊下・トイレ・浴室などに滑り止め加工材を使用 | 安全性向上 |
| トイレ改修 | 洋式化、手すり・段差解消、スペース拡張 | 介助のしやすさが重要 |
| 浴室改修 | 脱衣所との段差解消、手すり、浴槽の浅型化 | 事故防止と快適性の両立 |
■ 実際のバリアフリーリフォーム事例
【事例①】築32年 木造住宅（神奈川県）
- 内容：玄関の段差を解消、手すり設置、引き戸に交換
- 費用：約38万円
- 工期：3日
- 効果：「外出への不安がなくなり、生活が前向きになった」
【事例②】築25年 木造住宅（大阪府）
- 内容：浴室の段差解消＋手すり＋シャワーチェア導入
- 費用：約76万円（補助金利用後：実質48万円）
- 工期：5日
- 効果：「家族による入浴介助がスムーズに」
【事例③】築30年 戸建て（千葉県）
- 内容：2階→1階寝室へ移動＋トイレ新設＋スロープ工事
- 費用：約150万円
- 工期：8日
- 効果：「夜間の移動が楽になり、介護の負担も軽減」
■ 費用の目安（1カ所あたり）
| 工事項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 手すり設置 | 約1万〜3万円（1カ所） |
| 開き戸→引き戸 | 約5万〜10万円 |
| スロープ設置 | 約5万〜15万円（材質による） |
| トイレの段差解消＋手すり | 約10万〜25万円 |
| 浴室改修 | 約50万〜100万円 |
| 1階寝室＋トイレ増設 | 約100万〜200万円 |
■ 介護保険・補助金の活用方法
【介護保険の住宅改修制度】
- 要支援・要介護認定者が対象
- 上限20万円／1割〜3割負担（最大18万円補助）
- 対象工事：手すり設置、段差解消、扉交換など
【各自治体の高齢者住宅改修助成制度】
- 対象：65歳以上、一定の所得制限など
- 補助金額：自治体によって5万〜30万円
【申請の流れ】
- ケアマネージャー・福祉用具専門員の意見書
- 事前申請（図面・見積もり提出）
- 承認後に工事着工
- 工事完了後、実績報告
■ 業者選びと見積もり比較のコツ
- 福祉住環境コーディネーターや介護リフォーム専門業者を選ぶ
- 補助金・介護保険に詳しいかを確認
- 見積もりは必ず2社以上に依頼し、**「提案内容の質」**も比較
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まとめ
バリアフリー化リフォームは、**「転ばぬ先の杖」**として将来の安心を築く大切な備えです。木造住宅ならではの柔軟性を活かせば、生活動線に合わせた無理のない改修が可能です。
介護保険や補助制度も積極的に活用し、身体的にも経済的にも無理のない形で安全な住まいを整備しましょう。
